「AIで作れるか」 「AIに読まれるか」
自治体のサイトの多くは、CMS(コンテンツマネジメントシステム)で、HTMLがわからなくても入力できる仕組みです。
ですが、AI時代の今、「HTMLを知らない職員でも更新できるか」に加えて、「AIに読まれるか」「AIで作れるか」 で選ぶ必要があります。
例えば、市民からの電話で聞かれる前に、サイトで伝わことが理想ですし、原稿を生成AIでつくらせることはもちろん、AIチャットボットを導入した際の回答の元になります。

本記事では、「次のCMSリニューアルで確かめるべき2つの新基準」と、「全庁的に正しく入力する体制にしてく必要性」、「そのまま使える生成AIのプロンプト」「動的ページの活用で転記を減らす方法」を紹介します。
さっそく、AI時代だからこそのCMSの選ぶポイントをご紹介します。

新基準①:生成AIで作ったコンテンツを、CMSにそのまま使えるか
生成AIとの親和性があるCMSを選びましょう。
「コンテンツ作成の段階で生成AIをつかえるか」
「職員が生成AIで作った原稿をはりつけることが可能なCMSか(※)」
(※)貼り付けたときに、少し専門的な話になってしまいますが、例えば、各ページの見出し(h1〜h6)の段階が崩れずに残るなどが大事です。)という視点で選ぶ必要があります。
次は、生成AIと親和性が高いCMSの一例です。あくまでサイト上の情報なので、導入前にくれぐれもベンダーに確認してください。また、表にない製品にも有効なCMSも多々ありますので、直接、お問い合わせください。
生成AIと親和性が高いCMSの一例
| CMS | 原稿の入れ方や構造 | 生成AI活用方法 |
|---|---|---|
| SMART L-Gov CMS | 生成AIによるページ作成支援機能を提供しています。職員が条件を入力すると、住民向けの読みやすい文章の下書きをAIが生成します。 事例紹介ページ | 生成AIによるページ作成支援機能 |
| WebコアCMS SaaS | ・CMS上で草案を確認・修正するため貼り付け不要。Word・Excel・PDFからAIが草案を作る ※ 2026年11月提供開始の予定 実績ページ | 生成AIによるページ作成支援機能 |
| Joruri CMS | ・エディタのソース表示に貼る ・アクセシビリティチェックで、hタグの順番が不正でないかを確認できる 事例紹介ページ | 生成AIで作成した内容を貼り付けた場合に円滑な機能(貼り付けたときに、見出し(h1〜h6)が残るようなる) |
| SHIRASAGI | ・エディタのソース表示に貼る ・アクセシビリティチェックで、h1〜h6の順番が適切でないと警告が出る 事例紹介ページ | 生成AIで作成した内容を貼り付けた場合に円滑な機能(貼り付けたときに、見出し(h1〜h6)が残るようなる) |
| Kuroco | AI駆動開発を支える、国産ヘッドレスCMS・バックエンド基盤です。 AIを新しい「働き手」として活用できる基盤です。 事例紹介ページ | ※ヘッドレスCMS AIとの相性の良さで注目されています。コンテンツがページではなく構造化データとして管理されるので、AIによる生成・翻訳・要約や他システムとの連携がしやすくなります。ただし、表示部分を制作会社で開発する必要があります。その代わり、デザインや技術の自由度が高く、管理画面が公開サイトと分かれているためセキュリティ面でも有利です。 |
| microCMS | 入稿したコンテンツは複数サイトで利用できるため、複数のサイトを管理する場合は有効です。 事例紹介ページ | ※ヘッドレスCMS 説明同上 |
| WordPress | 特定の企業が所有・提供している製品ではなく、オープンソースとして無償で公開されている「CMS(コンテンツ管理システム)」ですので、複数の企業で事例が紹介されています。 | 以前は、「生成AIで作成した内容を貼り付けた場合に円滑な機能」だったが、APIキーを一度登録すれば、「生成AIによるページ作成支援機能」も活用可とのこと。 |
デモでは、生成AIで作った見出し付きの原稿を実際に貼り、h2・h3などの段階がそのまま保たれるか、見出しの順番のチェックがかかるかを確かめてください。
新基準②:AIチャットボットの回答が正確になるサイトを作れる
問い合わせ対応のためにAIチャットボットを導入すると、回答の正確さは「サイトの正確さ」で決まります。生成AIチャットボットは、公式サイトの情報をもとに答えます。元のページが古ければ、回答もその水準にとどまります。
生成AIチャットボットについては、こちらの記事でまとめています。
▶ RAGを活用した「自治体のAIチャットボット導入例と製品比較」ホームページやLINEを活用した問い合わせ対応
市民が「調べたいものがすぐ出てくる」かどうかは、CMSの種類よりもページの作りで決まります。同じページが、検索にもAIチャットボットにも使われるからです。
生成AIチャットボットは、公開されているサイトを情報源に回答を作ります。サイトの情報を毎日自動で取り込み、定期的に巡回します。サイトが古ければ、回答も古くなります。

AIチャットボットはページの水準を超えて答えられません。
差がつくのはCMSの選定以上に、職員が作成し管理職が決裁する「各ページ」です。
いま、自治体のサイトは、最低ランクの品質が約65%
自治体サイトの約65%が、サイトの品質評価で最下ランクという現状
都道府県・全市・特別区を対象にしたA.A.O.(アライド・ブレインズ株式会社が運営しているウェブアクセシビリティの総合サイトの名称)の2022年度調査では、562団体(65.8%)が5段階で最下位のEレベルでした。
サイトの品質評価とは何か?
サイトの品質評価とは、見た目の良さではありません。
誰もが目的の情報にたどり着き、内容を読み取れる作りになっているかです。
調査では、画像の代替テキスト、見出しの構造、リンクやページタイトルの適切さなどを判定しています。
サイトの品質が低くて起きる悪循環
サイトの品質が低いと、次の4つの問題が起きて、悪循環になります。
- 読めない人が出る:画像に代替テキストがないと、音声読み上げを使う人に内容が伝わりません。
- 探しても見つからない:見出しやページタイトルがあいまいだと、検索でもサイト内でもたどり着けません。
- AIが誤って答える:古いページや構造の崩れたページが残ると、AIチャットボットがそれを根拠に回答するおそれがあります。
- 電話の問い合わせが減らない:「持ち物は何ですか」「締め切りはいつですか」といった電話は、ページの最初に答えがあればかける必要がなくなります。

読めない、見つからない、AIが誤る。どの問題も、最後は窓口と電話の負担に戻ってきます。
CMSを替えるだけでは不十分、全職員が徹底する必要がある設定内容
「庁内で最低限、確認する『サイトの設定』」の項目で紹介したことを全職員が守れば品質は改善します。
ですので、要因は、CMSを提供する企業の問題ではなく、ページをつくる庁内の体制でもあります。
サイトの設定のチェックポイント
| チェックポイント | 内容 |
| 市民が実際に検索する言葉をタイトルや見出しに入れる | 例としては、「転入届」だけでなく「引っ越し 手続き」を入れる。難しい表現は減らしましょう。 |
| ウェブアクセシビリティに適しているか | 総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン」参照 |
| スマホでの表示画面が見やすいか | |
| メタディスクリプションに入力があるか | 検索結果のタイトル下に表示される、Webページの概要や要約を伝える文章で、目安は90文字以内です。 |
| 見出し構造をそろっているか 見出しタグ(hタグ)が庁内のルールに沿っているか | Webページ上の文章の構造や重要度を示すためのHTML要素(h1〜h6)です。h1からh6まで: 数字が小さいほど重要度が高く、大きな見出しになります。 目次の役割: 本の目次のように、ページ全体の階層構造をユーザーと検索エンジンに分かりやすく伝えます。 テンプレート入力やプロンプトで、誰が作っても同じ構造になるようにしましょう。 |
| PDFを参照ばかりのページになっていないか | PDFだけのページは、AIが内容を拾いにくくなります。総務省のガイドブックでも、PDFの内容を機械判読性の高いデータに整理してから生成AIに参照させた実証が紹介されています。 |
| リンクはあっているか |
設定を整えると、SEO(検索エンジン最適化)をも回復させる
これらがきれいに設定されていると、SEO(Search Engine Optimization・検索エンジン最適化)にも効果的です。Googleなどで検索したときに、自分のサイトのページが見つかりやすく、上の方に表示されるように工夫することを指します。
自治体サイトに置き換えると、「〇〇市 ごみ 出し方」「〇〇市 引っ越し 手続き」と検索した市民が、迷わず市の公式ページにたどり着けるようにすること、と考えるとわかりやすいです。
自治体サイトのSEO対策は、問い合わせを減らすだけでなく、移住・定住の促進や観光誘致、ふるさと納税の寄附拡大といった目的の達成にもつながります。
公式サイトは情報量が多く、構造が複雑になりがちです。ページの作りを整えれば、住民にも外部の人にも、検索から見つけてもらいやすくなります。
参考:サイトの業務改善方法3つ

改善方法① 生成AIを「もっと有効に」活用する
ウェブサイトの記事本文用とサムネイル画像用の2つを紹介します。
[ ]の部分を差し替え、自治体の生成AI利用ルールに合わせて調整してください。
そのまま使える「サイトの記事本文のプロンプトの例」
最初は、次のような短い指示で十分です。資料のPDFを添付して使います。(ただし、個人情報や非公開情報を含む資料は、自治体のルールで認められた環境以外には入力しないようにしましょう)
●●市の職員として、広報文を作成して
・事業名:●●(略称あれば●●)
・目的:問い合わせが少ないようにわかりやすくつくって
・流れがわかるフローをつくって
・PDFのなかのデータを画像や表にして
・そのまま●●CMSに入力できるようにつくって
・●●CMS(使うCMSの名前)に入力できるようにつくって
・見出しの構造を、市の基準に合わせて(あらかじめ情報提供しつつ)
・自治体のサイトの入力ルールにそってつくって(あらかじめ情報提供しつつ)
市民が見つけやすいように、SEOに有効なディスクリプションの入力内容など、アドバイスがあればください。
「貼り付けた後に崩れる、資料にない内容が混ざる」といったときは、次の条件を足します。
# 内容の条件
- 資料に書かれている事実だけを使う。資料にない情報は足さない
- 日付、金額、窓口名、電話番号は、資料の表記のまま写す
- 結論(誰が、いつまでに、何をするか)を最初に書く
- リンクの文言は、行き先がわかる言葉にする(「こちら」は使わない)
# HTMLで貼る場合の条件
- 使うタグは h2、h3、p、ul、ol、li、table、tr、th、td、a だけにする
- style属性、class属性、div、span、script は使わない
- 見出しは[h2]から始め、段階を飛ばさない
- 流れは番号付きリスト(ol)で表す
- 表はセルを結合せず、見出しセルは th にする
# 出力
1. ページタイトルの案(30字程度)とディスクリプションの案
2. 本文のHTML
3. 資料から読み取れなかった点と、確認が必要な点の一覧
フローやデータを画像で出力させた場合は、本文とは別にアップロードし、代替テキストを付ける必要があります。番号付きリストや表で出力させると、そのまま貼り付けられ、職員が後から直せます。
そのまま使える「サムネイル画像を作るプロンプト」
自治体の公式ホームページに載せる記事のサムネイル画像を作成してください。
# 記事の内容
[例:転入の手続きの案内]
# 条件
- 横長([16:9])
- やわらかい色合いのフラットなイラスト。[例:青と緑]を基調にする
- 題材は[例:窓口で手続きをする人と書類]
- ひと目で内容が伝わる、要素の少ない構図にする
- 画像の中に文字、数字、ロゴ、地図は入れない
- 実在の人物、実在の建物、既存のキャラクターや作品に似せない
- 人物を描く場合は、年齢や性別が偏らないようにする
使うときの注意は「文字は生成AIでは崩れることがあるため、画像には入れない」「生成画像を公式サイトに使えるか、生成AIで作ったことを明記するか」は、自治体の指針を確認するなどです。
改善方法② 閲覧者の視点で、検索結果・AIでの見え方を確認する
作ったページが「読まれているか」を定期的に確かめます。
- 閲覧状況:「Googleが無料で提供しているアクセス解析ツール『Googleアナリティクス』」レポートは、アクセスを表示します。解析タグを入れられれば、どのCMSでも使えます。
- 検索・AIでの見え方:主要な手続き名で、検索結果とチャットボットの回答を試します。古いページや誤った回答が出たら、元のページを直しましょう。
改善方法③ 「動的なページ」という考え方で、転記の手間を減らす
サイトのページは、仕組みにより「静的なページ」と「動的なページ」の2種類に分かれます。
| 種類 | しくみ | 向いているページ |
|---|---|---|
| 静的なページ | 職員が書いた内容が、そのまま表示される。変えるときは、職員がCMSでページを直す | 手続きの案内、制度の説明、お知らせ |
| 動的なページ | データベースの内容をもとに、見るたびに表示が作られる。データを直せば、表示も自動で変わる | 予約表、空き状況、施設や一覧、よくある質問など、オンタイムで情報が必要な内容などです。 |
この記事で扱ってきたCMSのページは、主に静的なページです。
しかし、予約表や空き状況のように、件数や状況が日々変わる情報をCMSのページで手作業で直していると、転記作業も多くなり、市民のニーズにもそぐわなくなってしまいます。
こうした情報は、kintoneなどの業務アプリで管理し、その内容を外部から見えるようにしてサイトに埋め込む方法をおすすめします。アプリのデータが更新されると、表示も変わります。kintone単体ではなく、外部に公開するため連携サービスと組み合わせて使うのが一般的です。
自治体では、例えば次のような使い方があります。
- 予約表:粗大ごみの空き状況を表示して予約を受け付ける(北海道旭川市)、母子健康手帳の受け取り日時を予約する
- 一覧・Q&A:よくある質問をkintoneで管理し、サイトに埋め込んで転記をなくす
詳細は、弊社の「kintoneの全庁展開を進めるときに紹介したい『自治体事例9種』」にまとまっています。
生成AIを導入した今こそ、CMSの選定も入力ルールも整える機会
自治体ウェブサイトは、
「ページを見つけられない」「見たけど、わかりづらい」「PDF添付ばかりでややこしい」。
市民にこう感じさせないページづくりが、いま自治体職員に求められています。
サイトは、生成AIを導入した今だからこそ、改善のチャンスなので、ぜひ、見直してみましょう。

